最高裁判所第三小法廷 昭和33(あ)530 決定
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人Aの上告趣意について。
論旨は、本件は警察の不当弾圧の下に発生したもので、被告人等の検察官供述調
書は、捜査官によつてデツチ上げられたものであり、警察官(特に証人B巡査、C
巡査)の各証言もコジリ付けの出たらめのものであると主張し、結局証拠の取捨判
断の非難、事実誤認及び単なる法令違反をいうに帰し、刑訴四〇五条の上告理由に
当らない。
被告人Dの上告趣意について。
論旨は、違憲をいう点もあるが、実質は証拠の取捨判断の非難、事実誤認の主張
と単なる法令違反の主張を出でないものであつて、すべて上告適法の理由に当らな
い。(なお、原判決およびその維持する第一審判決が採証した所論各検察官調書が
所論のように任意性を欠くものとは、記録に徴してもこれを認めることができない。
また、本件は、平和条約発効前の、わが国が連合国の占領下にあつた昭和二七年二
月三日の事件であつて、当時においては、団体等規正令は、日本国憲法にかかわり
なく、憲法外において法的効力を有していたものであることは、当裁判所大法廷の
判例(昭和二七年(あ)第二八六八号同二八年七月二二日大法廷判決、刑集七巻七
号一五六三頁、昭和三二年(あ)第二号同三六年一二月二〇日大法廷判決刑集一五
巻一一号二〇一七頁)とするところであるから、平和条約発効前たる本件当時、警
察官が同令違反の被疑事件について所論のような捜査をすることは、もとより適法
な公務執行行為であつて、これを所論の如く違法の捜査ということはできない。所
論援用のE事件判決(昭和三一年(あ)第三六三六号同三六年一二月二〇日大法廷
判決、刑集一五巻一一号一九四〇頁)は、本件と事案を異にする。)(なお勾留中
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の者の自白を証拠とすることは違憲であるとの主張も憲法のいずれの条項に違反す
るかを示さないものであるから上告適法の理由とならない。)
被告人Fの上告趣意について。
論旨は憲法三八条違反をいうが、原判決およびその維持する第一審判決が採証し
た同被告人の第三回、第四回検察官供述調書が、所論のように強制、拷問、誘導等
に基く任意性を欠くものであることは記録上認められないから、所論は前提を欠き、
その余の論旨は、違憲をいう点もあるが、その実質は、証拠の取捨判断の非難、審
理不尽、採証法則違背、これらを前提とする事実誤認の主張を出でないものであつ
て、すべて上告適法の理由とならない。
被告人Gの上告趣意について。
所論の検察官に対する同被告人の自白の任意性を疑うことのできないことは、第
一、二審判決が証拠により説示したとおりである。その余の所論は、結局事実誤認
又は単なる訴訟法違反の主張を出でない。所論はすべて採るを得ない。
弁護人関原勇、同柴田睦夫、同林百郎、同大塚一男、同島田正雄、同青柳盛雄、
同岡林辰雄、同池田輝孝、同竹沢哲夫、同佐藤義彌、同石島泰、同植木敬夫、同上
田誠吉、同小沢茂、同中田直人、同黒田寿男、同小島成一の上告趣意第一点につい
て。
論旨は違憲(憲法三一条七六条違反。七六項とあるは誤記と認める。)をいう点
もあるが、実質は事実誤認と単なる法令違反の主張を出です、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。(団体等規正令の平和条約発効前における効力及びその違反被疑
事件についての警察官の犯罪捜査が、本件当時においては、適法な職務執行に属し
ていたことは、被告人Dの上告趣意について判示したとおりである。)
同第二点について。
論旨中判例違反の主張は、原判決の事実誤認を前提とするから、その前提を欠き、
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その余の論旨は、事実誤認又は単なる法令違反の主張であつて、すべて上告適法の
理由とならない。
同第三点について。
所論各検察官供述調書が所論のように強制、脅迫、誘導、拷問に基くものである
疑は記録に徴しても認められないから、憲法三七条、三八条違反の論旨はその前提
を欠き、また、引用の判例は事案を異にし本件には適切でないから、判例違反の論
旨も前提を欠き、その余の論旨は、証拠の取捨判断の非難、採証に関する刑訴法及
び経験則違反、これらを前提とする事実誤認の主張を出でないものであつて、すべ
て刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三七年九月一八日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 垂 水 克 己
裁判官 河 村 又 介
裁判官 石 坂 修 一
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
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